老後の目標

久しぶりに知人と酒を交わしました。

年上ではあるものの、仕事の関係で親しくなり
プライベートでもお付き合いをさせていただく方で、

一昨年職場を退職されたため
会う機会がまったく無くなったものですから、
「どうしてる?」とこちらから連絡したら、
待ってましたとばかりに会うことになったのでした。

退職後は悠々自適な生活で、
楽しい毎日を送っていらっしゃるものと
私は想像しておりましたが、

ご本人がおっしゃるには
「確かに自由時間があるんだけど、
逆に、することが無くて毎日退屈している」とのこと。

そういえば、現役の頃の颯爽とした容貌が
「老けられたなぁ」と感じるほどに変わっていました。

正月の話題になった際、
「いかに自分が仕事人間だったかを痛感している」と
ふと、ため息まじりにおっしゃいました。

退職後自宅に届く、自分宛の年賀状はほとんど無く、
妻や子供宛の年賀状ばかり。

毎年会社に大量に届いていた多くの年賀状も
今や自分宛に来る筈も無く、

いかに個人としての人間関係を築いていなかったのかと
今更ながらに気づいたとのことでした。

会社という組織の中でバリバリと働き、
高い地位に就いていらっしゃった方ほど、
退職後の人間関係に落胆なさることが多いのだろうと
あらためて気づきました。

しかし、私は思うのです。

子供時代から学生時代という非社会人の頃の友人は
損得勘定を含まない人間関係であり、
生涯の友としての関係を保ち続けられるものだとすれば、

社会人になり、仕事においての人間関係では、
損得関係や義理が絡むのは致し方ないものです。

だからこそ、退職したあとは
もう一度、損得関係抜きの人間関係を築くことが出来る
素晴らしいチャンスではないかと思うのです。

残された人生の中で、
新たに「死ぬまで付き合える友人」を何人作れるのか?

そんなことを老後の目標のひとつに掲げることも、
素敵な人生の楽しみ方ではないのかと
ふと思ったオヤジなのでした。