自分に足りないことを言う

月に何度か「講師」という立場で

セミナー等でお話をしていると、

実は「自分にもできていないこと」について

お話をせざるを得ないことがあります。


立場上、皆さんに「先生」と呼ばれながら、

自分自身もできていないことについて偉そうに語ることに、

もう一人の自分が

「お前、良くそんなことが言えるもんだねぇ」と

シラーッとした顔で私にささやきます。

すると、受講生の皆さんにも

そんな顔で見られてるような気がしてしまうので

これは結構つらいものなんですよね。


しかし、最近気付いたのです。

「自分もできてないことを人に言うこと」

それも単なる対人関係上ではなく

沢山の皆さんの前で言ってしまうことは、

それを口にした以上、

自分自身が「そうならざるを得ない」という

結果をもたらすという効果があるのです。

ですから、私が講演で喋ることは

ある意味「私自身も今はできてないかもしれないが、

そうであるように私は頑張るつもりです」という

他者に対しての「宣言」であるような気がします。


面白いもので、セミナー等で偉そうに語ったことは

その日のうちに現実に起こるものです。

「腹が立つことがあれば、怒る前にひと呼吸して

本当に怒るべきことか考えましょう」と言えば、

講演後に腹が立つことばかり発生してしまうし、

「他者やまわりの状況にイライラすることは、

自分が勝手につくりあげた感情であって

決して他人がもたらしたものではありません」

などと言ってしまえば、

担当者のヘタな進行で次の約束の時間に間に合わず、

イライラしている自分がそこに居て

電話一本かけて「すみません、少し遅れます」と

一声謝れば済むだけの話じゃねえか・・・と

講演で喋った自分の言葉に気付かされます。


自分が言ったことを一番聴いているのは、

実は他者ではなく、自分自身なんです。

だから「気づき」が「気づき」を呼ぶんですよね。

人に教えることは「自分が自覚すること」に繋がります。

「自分にできないことを人に言うな」と言ってしまえば

それで終わりなのですが・・・

「人に言ったことで、そうせざるを得なくなる」

というのも、また事実なのです。

人に喋ったことは、必ず自分に帰って来る。

そう思ったら、

「今、自分が自覚しなければならないことは?」と、

次回のセミナーで、自分に与える課題を

妙にワクワクしながら探しているオヤジなのでした ^ ^