「アイツは使えない」は諸刃の剣

あるクライアントの会社で

打ち合わせをしていた際の出来事です。

担当者の若者が席を立った際に、

「・・・ったく、使えないヤツでして」と

上司の方がおっしゃいましたが、

いったい、どういう意味で出た言葉なのかな?

と、ふと疑問に感じてしまいました。


私に対しての申し訳なさから発せられ

ある種の「社交辞令」であるならば、

その気持ちは有り難いものでありますが、

本心でおっしゃっているのなら、

それは問題発言ではないのかな?と

思ってしまったのです。


いろんな言い方はありますが、

誰かのことを「アイツは使えない」という

類いの言葉として発する場合、

その多くは

「自分にはあの人を使いこなすだけの能力がない」

と白状してることと

なんら変わりがないような気がします。


自分の思い通りに他人が動く筈もありませんが、

しかしながら、職場ではそれをある程度は

動くように仕向ける能力が問われるのが現実です。

そんな場合に出て来る言葉が

「アイツは使えない」なんですが・・・

その言葉って「諸刃の剣」じゃないのかな?

なんて思ってしまうのです。



実際のところ「使えない」んじゃなくて

そう言う方に限って「使いこなせていない」

というのが、正直な感想です。

他人を「使う」という気持ちがある限り、

決して動かせるものではありません。

社内はもちろん、世間での肩書きを外せば

みんなタダの「個人」です。

常に自分の立場や肩書きに依存なさってる方は、

それを外して「個」として誰かと対峙した場合に、

往々にして無力であるという方が

多いように見受けられます。



上司であれ部下であれ、お互い人間同士です。

社内では、それをうっかり忘れがちになりますが、

上下関係を外した「個」としての人間関係、

人と人としてのコミュニケーションを

いかに上手くとれるのかが、

「人を動かす」のではなく、

「人が動くように仕向ける」


という能力なんじゃないのかな?

そんなことを、ふと思ったオヤジなのでした。